俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
(失礼すぎた?)

怒らせたかと身構えていると、一拍置いて意外にも謝罪される。

「場所を選ばずすまなかった。だが人目を気にしていてはお前に声をかけられない。それとも俺の執務室で話した方がよかったか?」

「それも困りますが……」

財務部の市原に三度も執務室に呼ばれたと噂されるのは避けたいところだ。

度々呼ばれていると、他の社員にも不審に思われるかもしれない。

「携帯の私用の連絡先を教えてくれ」

普通の口調で別案を提示されたが、それにも戸惑った。CEOとただの末端社員という関係から一歩外れてしまいそうな気がしたからだ。

答えられずにいると、黒見が嘆息して背を向けようとする。

教えないというなら今後もマーケティング部にやってくるか、それとも呼び出すかだと言われた気がして慌てて了承した。

「わかりました。携帯は通勤バッグの中にあるので今、メモ帳にアドレスを書きます」

「あとでいい。ロビーでの待ち合わせは変更だ」

人目につきたくないという梨乃の気持ちは一応汲んでくれたようだ。

社屋から歩いて五分ほどのカフェを指定した黒見が背を向けた。

急いでいるのかもしれないのでそれ以上は引き留められず、足早に階段を上がっていく後ろ姿を見送る。

(あ、しまった。食事を断るつもりだったのに)

< 78 / 238 >

この作品をシェア

pagetop