俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
一般のタクシーとは別格なこの車はよく見ると有名な高級ドイツ車のエンブレムがついていて、彼が御用達にしている個人タクシーなのかもしれないと思った。

「ご乗車、誠にありがとうございます」

行先はすでに伝えてあるようで、挨拶のあとにすぐ運転手がタクシーを走らせた。

「どこまで行くんですか?」

声を潜めて聞くと、黒見にフッと笑われる。

「たまに利用する創作料理の店だが、なぜ小声なんだ? 社員はいないぞ」

「そ、そうですよね。なんとなく……です」

「社内でも隠す必要はないと俺は思うが」

(あなたとは立場が違いますから)

入ったばかりの末端社員なので仕事以外で注目されたくない。

心の中で反論していると、思い出したかのように言われる。

「そうだった。連絡先を教えてくれ」

ショルダーバッグから携帯電話を出したが、注意事項は言わせてもらう。

「私用のアドレスへのご連絡であっても、私はいち社員として対応させていただきます。今日のお誘いも出張の打ち合わせと捉えていますので」

交際する気はないのでデートの誘いは遠慮したい。それを遠回しに伝えると、不愉快そうな目で見られた。

怖いけれど負けてなるものかと視線を外さずに耐える。

すると彼がフッと笑った。

「ガードが固いな。軽い女よりずっといい」

(まさかのイメージアップ?)

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