俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「お前の気持ちはわかった。今日は出張の打ち合わせをしよう」

「ありがとうございます……」

心なしか楽しそうな顔に見える彼は、梨乃の意見を受け入れてくれた。

(話のわかる人なのかも)

社会的地位の高いイケメンであっても、相手の考えを否定して命令ばかりの男性には嫌悪感を覚える。けれども今の彼には対等でいようとしてくれる意思を感じた。

(俺様なイメージを持ってしまったけど、よく考えると社内でそうなるのは当然かも。命令系統としてトップにいるんだから。プライベートではもう少し柔軟みたい)

素顔の黒見に少し興味が湧いて仕事以外の話もしてみたくなる。

(でも打ち合わせと言ったのは私だし。今さら他の話はできないか)

混雑している道路をゆっくりと進んだタクシーは、十五分ほどで目的地に到着した。

そこは繁華街にある商業ビルの前で、黒見に続いて降車する。

「ここの二十階の店だ」

(へぇ、どんな店なんだろう。この辺りで食事したことがないから楽しみになってきた)

早速ビルのエントランスに向かおうとしたが、通行人の列がなかなか途切れない。

(なんか今日はやたらと人が多くない?)

週の真ん中だというのになぜだろうと不思議に思う。それともこの辺りはいつも歩きにくいほど人で溢れているのだろうか。

歩道を横断するタイミングが取れずにいると、黒見に手を繋がれた。

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