俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
「平日はいけると思ったんだよ。他にも候補はあるから怒るなよ」

「クリスマスイブだよ。どこも無理。なんで予約し忘れるかな。私もう帰るから」

苛立ちを感じるヒールの音が遠ざかる中で、梨乃はハッとしていた。

(そっか。今日はクリスマスイブだ)

恋人がいないとそういうイベントはどうでもよくなり、まったく気にしていなかった。

だから繁華街がやけに賑わっていたのかと納得しつつ、黒見の横顔を窺った。

(私たちも入店できないんじゃないの?)

食事に誘われたのは一時間ほど前である。梨乃の返事を聞いてから予約の電話をかけたとしても、クリスマスイブは満席だろう。

それなのに黒見は平然とドアノブを引いていた。

「いらっしゃいませ」

対応に現れた黒服の中年男性が「黒見様」と名前で呼んで、頭を下げた。

「いつもお世話になっています。今日は予約をしていないのですが、いいですか?」

「もちろんでございます。黒見様のお部屋に他のお客様はお通ししませんので、いつでも歓迎いたします」

(どういう会話?)

黒見の部屋とはどういう意味か。戸惑う梨乃に「こっちだ」と彼が声をかけ、ホールの方ではなくレジカウンターの横の細い通路に爪先を向けた。

「は、はい」

ついていくと黒見が突き当りのドアを開けた。

中は八畳ほどの広さで六人掛けのテーブルセットが組まれている。

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