俺様CEOは激愛の手を緩めない~人生どん底のはずが執着愛で囲い娶られました~
野菜の他には海老とホタテ、キャビアが使われているが、梨乃が知っている味ではない。

未知との遭遇といった気分で口元を押さえる梨乃に、黒見が目を細めていた。

「素直な反応をする。お前は感情がすぐ顔に出るんだな」

「おいしすぎて、つい……。恥ずかしいです」

「俺はいいと思うが。裏表がなく飾らない人柄は、一緒にいて心地いい」

もぐもぐと口を動かしつつ、なぜそう言うのかと深読みする。

(CEOの周りには裏表がある人の方が多いの?)

そういえば初めて執務室に呼び出された時、彼の失脚を目論む者の手先のようなあり得ない嫌疑をかけられた。

偶然の再会だと信じられないのは、腹黒い人間に陥れられそうになった過去があるからなのだろう。

「人間不信なんですか? 疑ってかからないといけないなんてCEOは大変なんですね」

シャンパンを飲み切ったせいで、すでにほろ酔い気分だ。

言ってしまってから失礼な返しだったと思ったが、あまり気にせず続ける。

「私のことは信用してくださって大丈夫です。誓って陥れるようなことはしません。悪の組織のエージェントではありませんので」

気分を害するどころか、彼が肩を揺らした。

声を上げて笑う姿を見たのは初めてで、貴重な素顔を目撃した気分になる。

(意外と可愛い顔で笑うんだ)

笑っていると支配者的な感じはなく、今までより親近感を覚えた。

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