死の投票
「な、何だよこれ……!」


廊下の窓ガラスに映る自分の姿が、ゆっくりと黒く滲みはじめる。


影が逆さまに歪んで笑い、そのまま悠真の首元に細い黒い手のような影が絡みついた。


「や、やめろっ!」


必死にもがく悠真。しかし体はまるで縫い付けられたかのように動かない。


黒い影が喉元を締め上げ、彼を闇の中へと引きずり込んでいった。


バキッ――


鈍い音と共に、静寂が戻った。


廊下には誰もいない。ただ、床に悠真のスマホが転がっているだけだった。
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