幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜


 

 
 翌朝。

 恋が登校すると、教室の真ん中に輪になって、クラスメート達ががやがやと話をしていた。

 
「恋!」


 窓際から理央が来て声をかけた。

 
「今日は早かったね。ねえねえ、学芸会の出し物、何が良いと思う?」

「学芸会って?」

「昨日先生が言ってたでしょ。演劇か演奏か合唱か。それとも他のものか。」

「ああ」



 恋は合点して頷いた。

 昨日、ホームルームで、学校の学芸会の出し物を考えてくる様言われた。


「そうやって言うって事は、恋は出し物を考えてこなかったんだね。」


 理央は分かったというように頷いた。

 
「私は演劇が良いと思うな。普段ありえないから。」


 理央はそう言うと、クラスメート達の輪の中に入って、ねえ、演劇やらない?と明るく声をかけた。


「演劇?。演技するのは難しそうだよ。やり方がよく分からないし。」

「小道具に凝ったら面白そうじゃない?。小物を作るのは楽しそうだよね。」

「演技って何か気後れするよ。俳優数人だけに絞ったら、楽できるかな。」





 ────今年は何をする事になるんだろう。





 鞄をしまって席についた恋は、頬杖をついて、今年の学芸会について考え始めた。



< 77 / 111 >

この作品をシェア

pagetop