幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
翌朝。
恋が登校すると、教室の真ん中に輪になって、クラスメート達ががやがやと話をしていた。
「恋!」
窓際から理央が来て声をかけた。
「今日は早かったね。ねえねえ、学芸会の出し物、何が良いと思う?」
「学芸会って?」
「昨日先生が言ってたでしょ。演劇か演奏か合唱か。それとも他のものか。」
「ああ」
恋は合点して頷いた。
昨日、ホームルームで、学校の学芸会の出し物を考えてくる様言われた。
「そうやって言うって事は、恋は出し物を考えてこなかったんだね。」
理央は分かったというように頷いた。
「私は演劇が良いと思うな。普段ありえないから。」
理央はそう言うと、クラスメート達の輪の中に入って、ねえ、演劇やらない?と明るく声をかけた。
「演劇?。演技するのは難しそうだよ。やり方がよく分からないし。」
「小道具に凝ったら面白そうじゃない?。小物を作るのは楽しそうだよね。」
「演技って何か気後れするよ。俳優数人だけに絞ったら、楽できるかな。」
────今年は何をする事になるんだろう。
鞄をしまって席についた恋は、頬杖をついて、今年の学芸会について考え始めた。