幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
番外編②恋とクリスマス
「新田さん。」
冬休みが始まる朝のホームルーム前、美風が恋に声を掛けた。
恋は後ろのロッカーの本棚から、朝の読書の小説を選ぼうとしている所だった。
「樋山くん、どうしたの?」
「クリスマス、イルミネーションを見に、一緒に行かない?。買い物がてら、駅前に。」
「えっ」
恋はちょっと困った顔をした。
恋は、この間から、幼なじみの宗介と付き合っている。
宗介もイルミネーションを2人で観に行こう、と恋を誘っていた。
「上野と行くつもりだった?」
美風がずばり聞いた。
「よしなよ、上野なんて。君は選ぶ権利があるんだから、ちゃんと考えて選ぶべきだ。」
「樋山くん……」
「僕の家めちゃめちゃ裕福だよ。君を大切に出来る。君のしたい事なんでもさせてあげられるよ。いつでも新田さんの事一番に考えるよ。」
「……」
「考えて欲しいな。どっちが自分に有利か。まあ上野の家も裕福みたいだけど。でも、僕の家とは絶対格が違うよ。そ・れ・に、」
美風はそこで言葉を一旦切った。
「僕誰かさんより新田さんを好きな自信ある。それなのにどうしてあいつなの?」
「ごめんね、樋山くん。」
「どうしても行かない?」
「えっと……」
「僕三角関係ごっしてあげる。」
美風が言った。
「関係をぼかして遊んであげるよ。最も、最後は僕が貰うけど。3人で行っても良いよ。」
「本当?」
「僕上野が居たって気にならないし、僕と新田さんで喋ってれば、空気みたいなものだし。僕は大人だから、優柔不断な新田さんの遊びに付き合ってあげられる。そういう遊びあるでしょう?。恋愛で。」
「ありがとう」
「上野にそうするって言っといて。」
美風が言った。
「一番重要な最後だけ僕が貰えれば良いんだ。新田さん、結婚には必ず僕を選んでくれるでしょ?」
まだ困り笑いしている恋に、美風は頷きながら、それが当然だよ、と言った。