幼なじみは狐の子。〜幼なじみと転校生の溺愛〜
学校から家へ帰って、恋は宗介の家へ向かった。
宗介は玄関で恋を迎え入れた後、リビングのヒーターの前に立って、暖を取っていた。
「今日寒いね」
「だね。恋もこっちに来てな。」
恋がソファに座ると、宗介は飲み物を淹れるためにキッチンへ立った。
「宗介」
「何?」
「クリスマスのイルミネーションの事なんだけど。」
恋はそう切り出した。
「樋山くんが一緒に来たいって言ってるんだけど。」
「は?」
宗介は一瞬ぽかんとした顔をしていたが、やがて理解すると、苛立った声で言った。
「何で自分で分からないの?。3人では行けないって。」
「だって」
「僕、あれデートのつもりで誘ったんだよ。2人で行くのが当然だろ。考えて分かれよ。」
「ごめん、でも」
恋はぼそぼそ言い訳をした。
恋は、美風の言った事を繰り返し、宗介に説明した。
三角関係ごっこができる、の下りまでくると、宗介は恋を冷たい目で睨んだ。
「僕そんなごっこするつもりないよ。下らない。恋愛は一対一でするもので、二じゃない。」
宗介が聞いた。
「結婚は自分とだって、そう言ったの?あいつ。」
「……っていうか……。」
「僕たちの関係に横入りしようとして、迷惑、樋山は。お前がもっとあいつから距離を取らないから悪いんだぞ。」
「でも……」
「でも何?」
恋は、ぼそぼそと好きだと言われて断れない、と小声で言った。
宗介が言った。
「他にもお前を好きな奴が沢山居るだろ。そいつらみんな断らなかったらどうなると思う?」
「樋山くんは、別」
「どうして?」
「なんとなく……」
「ふーん、なんとなくね。じゃあ聞くけど、お前が好きなのは僕じゃなくてあいつなの?」
宗介は当然違う、という言葉を期待してそう聞いた。
しかし恋は、小声で樋山くんも、と言った。
宗介の中で何かがプチっとキレた。
「行かない。僕。それならお前とクリスマスは。」
宗介が言った。
「ほんっと腹立つ。お前。恋、樋山と行ってきな。」
「3人で……」
「死んでも嫌だ。お前のそういう所が嫌いなんだよ。」
カタン、とコップを置いた宗介に、恋は俯いたまま、さっきの言い訳を繰り返した。