元婚約者様、その子はあなたの娘ではありません!
「ママ! おーとに行こうよ!」
オルガは私にちらりと目くばせをして『ノリに合わせろ』と伝えてきた。
私からしたら笑えないこの状況を、彼女は面白がっている。
不本意ではあるが、彼女がそうしたいというのならそうするしかない。
「もう、しかたがないわね……
わかったわよ。王都に行くわ」
瞳を輝かせたアロイスに、私はビシっと指を突きつけた。
「ただし!
出発は五日後よ!」
「五日後? なぜだ?」
「私には私の仕事があるの!
中途半端なところで放りだすわけにはいかないのよ!」
「仕事って、なにをしてるんだ。
俺も手伝えることがあるなら」
「手なら足りてるわ。
魔法陣があるなら、王都とここを往復するのも一瞬でしょ。
とにかく、五日後にまたここに来て。
いいわね?」
「だ、だが」
「い・い・わ・ね?」
「わ……わかった」
か弱い貴族令嬢だった私しか知らない彼は、それなりに世間に揉まれて逞しくなった私に面食らいながらも頷いた。
オルガは私にちらりと目くばせをして『ノリに合わせろ』と伝えてきた。
私からしたら笑えないこの状況を、彼女は面白がっている。
不本意ではあるが、彼女がそうしたいというのならそうするしかない。
「もう、しかたがないわね……
わかったわよ。王都に行くわ」
瞳を輝かせたアロイスに、私はビシっと指を突きつけた。
「ただし!
出発は五日後よ!」
「五日後? なぜだ?」
「私には私の仕事があるの!
中途半端なところで放りだすわけにはいかないのよ!」
「仕事って、なにをしてるんだ。
俺も手伝えることがあるなら」
「手なら足りてるわ。
魔法陣があるなら、王都とここを往復するのも一瞬でしょ。
とにかく、五日後にまたここに来て。
いいわね?」
「だ、だが」
「い・い・わ・ね?」
「わ……わかった」
か弱い貴族令嬢だった私しか知らない彼は、それなりに世間に揉まれて逞しくなった私に面食らいながらも頷いた。