社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
少し離れた場所、暗がりの中で亮くんは立っていた。
もちろん何も言ってくれない。
でも彼のその姿に心臓の奥がジンと暑くなる。嫉妬も思いも全部抱えて、それでも彼が私を見ていてくれたことが嬉しかった。
電車に乗っても、もちろん亮くんが隣にいることはない。
同じ会社だし、飲み会の後くらい一緒の電車に乗っているのを見られてもおかしくはないんじゃないか、と一度話したこともあるが、亮くんは頑なに首を縦に降らなかった。
一定の距離を開けて家に帰る。私が先を歩き、彼が私を見守るように後ろから付いてくる。今日は神谷くんとのことがあったからか、背中に向けられる視線がいつもより熱い気がする。
神谷くんにもちろん断ったし、遠くからでも亮くんはそれを見ていたからわかるはず。やましいことなんてないのに気まずい。
玄関を開けると靴を脱ぐ前に亮くんが言った。
「神谷に、告白されたんだろ?」
「見てた……よね?」
「見た。でも間に入れなかった」
その悔しげな表情の彼に胸の奥が締め付けられる。
「ちゃんと断ったよ」
「知ってる。でも、ちょっとムカついた」
「やっぱり嫉妬してくれたんだ?」
わかってはいるけど、彼の口から聞きたい。
「そりゃするよ。俺の奥さんは人気者だから。俺は、小春に関してはいつだって不器用で嫉妬深い」
その声が静かなのにストレートすぎて、思わず胸があたたかくなった。
「バレるよ、そんなこと行ったら」
「大丈夫。ここは俺たちの家だろ」
その瞬間私の口は塞がれた。
「俺は小春が好きすぎるな」
少し離れた瞬間に彼はそう呟いた。だから私も「大好き」と伝えるとまた喋ることができなくなった。
——嫉妬も秘密も、ぜんぶひっくるめて。この人といる今が1番好きだ。
もちろん何も言ってくれない。
でも彼のその姿に心臓の奥がジンと暑くなる。嫉妬も思いも全部抱えて、それでも彼が私を見ていてくれたことが嬉しかった。
電車に乗っても、もちろん亮くんが隣にいることはない。
同じ会社だし、飲み会の後くらい一緒の電車に乗っているのを見られてもおかしくはないんじゃないか、と一度話したこともあるが、亮くんは頑なに首を縦に降らなかった。
一定の距離を開けて家に帰る。私が先を歩き、彼が私を見守るように後ろから付いてくる。今日は神谷くんとのことがあったからか、背中に向けられる視線がいつもより熱い気がする。
神谷くんにもちろん断ったし、遠くからでも亮くんはそれを見ていたからわかるはず。やましいことなんてないのに気まずい。
玄関を開けると靴を脱ぐ前に亮くんが言った。
「神谷に、告白されたんだろ?」
「見てた……よね?」
「見た。でも間に入れなかった」
その悔しげな表情の彼に胸の奥が締め付けられる。
「ちゃんと断ったよ」
「知ってる。でも、ちょっとムカついた」
「やっぱり嫉妬してくれたんだ?」
わかってはいるけど、彼の口から聞きたい。
「そりゃするよ。俺の奥さんは人気者だから。俺は、小春に関してはいつだって不器用で嫉妬深い」
その声が静かなのにストレートすぎて、思わず胸があたたかくなった。
「バレるよ、そんなこと行ったら」
「大丈夫。ここは俺たちの家だろ」
その瞬間私の口は塞がれた。
「俺は小春が好きすぎるな」
少し離れた瞬間に彼はそう呟いた。だから私も「大好き」と伝えるとまた喋ることができなくなった。
——嫉妬も秘密も、ぜんぶひっくるめて。この人といる今が1番好きだ。