社内では秘密ですけど、旦那様の溺愛が止まりません!
そのあとはフードコートでタピオカを飲んだ。なんだか高校生に戻ったみたいで心が弾んだ。

「あの頃は楽しかったよね。毎日一緒にいても、もっと一緒にいたくて帰りたくなくてずっと話してた」

「そうだな。俺は今でも一緒にいたいから早く家に帰るけど……」

ジロッと私の顔を覗き込む亮くんは少し意地悪。

「私だってそうだよぅ。家にいないと亮くんは浅賀くんになっちゃうしね。でも結婚ってすごいよね。朝も夜も一緒にいられるんだもん」

「そうだな。同じ家に帰れるっていいよな。寝起きの顔も寝てる顔も毎日見れるし」

「そんなのは見ないでよ」

じゃれ合うような会話が楽しくて時間が経つのを忘れてしまう。毎日どれだけの時間を過ごしていてもこんなに好きでいられるなんて不思議。高校の頃からの友人にも、倦怠期とかないの?と聞かれるが一緒にいるのが苦痛とか一切ない。おかしいって言われるけど、一緒にいることが普通すぎるのだと思う。こんなに好きになれる人と、この世界にたくさんの人がいる中で巡り会えたことに感謝だと話したら友人には呆れられた。

「今交換してもいい?」

私は手首からスマートウォッチを外すとベルトを交換した。それを見て亮くんも腕から外している。ふたりとも交換し終わるとまた腕にはめる。

「うん、いい!」

私が手首を亮くんの前に出すと彼も腕を出し並べる。私は思わずスマホで写真を撮った。
秘密の夫婦のデートは貴重な素顔に戻れる時間。楽しくてあっという間の1日だった。
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