Powdery Snow

あたしの言葉を待っているのか弘人は一向に口を開いてはこない。


あたしの視界に入るのは両手をポケットに突っ込んだまま両足のカカトを上げたり下げたりと繰り返す弘人の足。


しばらく、その光景を見ていると不意に言葉を出していた。


「弘人は何?」

「えっ、何って何が?」

「意味わかんないよ。ずっとずっと女とイチャついててさ、ずっと女と居るじゃん。なのに何であたしに電話してくんの?」


平然を装って言うつもりだったのが、いつの間にか苛立った口調になっていた。 

だけど、その苛立った口調は一気にうち下された。



「それは亜希も同じじゃん」 

「えっ…」


尽かさず返ってきた言葉に思わず弘人に目を向ける。重なり合った瞳から弘人は一向に逸らす事なく話を続けた。


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