セレナーデ
うぐ、と入ったはずの杏仁豆腐が出てきそうになった。
「くるしい」
「あ、力強すぎた。ゴメンネ」
「謝罪が軽い」
「僕が指輪直しに行くよ」
気にしていたらしく、少しだけ申し訳ない気持ちになる。
「また太って戻るかもしれないし」
「そしたらまた戻せば良い」
「一望忙しいのに、申し訳ないよ」
「指輪してよって言ってんの。わかる?」
あ、少し怒ってる。
というか、怒るところそこなの?
一望は笑いながら怒るタイプの人だ。
「自分で直しに行くから」
わたしが言うと、ころりと笑う。
うん、と頷いて返して一望の機嫌は戻った。