セレナーデ
才能と嘘と本当
一望が家に帰ったからとて、わたしの仕事は相変わらずだった。
「大丈夫ですか」
「頭パンクしそう」
打ち合わせの後、缶コーヒーを飲みながら宙を見つめていたわたしに、後輩の粟野が尋ねる。
「流石メロディーメーカー。忙しいですね」
「褒めてる? 貶してる?」
「字面から見ても褒めてます」
「とても近くに天才がいると、自分が本当に何も持たない人間なんだなって、再確認する」
つい零してしまった。
粟野を見たけれど、特に表情を変えることなくPCを見続けている。
「なんで褒めてるのに、自分で評価下げるんですか」