セレナーデ

至極全うなことを言われ、同意しかできない。

「……だよね、ごめん」
「急に謝るし」
「一望が帰ってきてさあ」
「あ、確かに赤坂のホールでやりますよね」

駅のポスターで見ました、と加えられる。

粟野は一望の高校の頃の後輩で、一望とは面識がある。

調(しらべ)先輩と比べたら、誰もが凡人ですよ」

容姿、経歴、出自、それを比べれば性格や食べ物の好き嫌いのいくつかなんて、可愛いものだ。

代々続く音楽家の家庭に生まれることに、沢山の柵には目を瞑って、利点ばかり並べてしまう。わたしみたいに貧しい人間は、特に。

< 18 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop