セレナーデ

「一望、いつ帰ってきてたの? わたし、結構遅くに帰ってきたんだけど」
「早朝。また終電だったの?」
「一本前。今、手詰まり中で」
「ちゃんと寝ないと、身体壊すよ」
「身体だけは頑丈だから、大丈夫」

左手を握ってみせる。一望は眉を顰めたまま、朝食に戻っていく。あれ、何か間違えたのかも。

「同窓会は? 楽しかった?」
「うん、懐かしい話もできたし」
「次は、どこ回るんだっけ」

言いながら、共有していた予定帳を頭の中で開く。

「日本。関東圏。漸く帰ってこられる」
「そ……っかあ」

嬉しそうな一望とは反対に、落胆する心を隠して朝食を終えた。

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