敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
 昼休み。
 美絃は小会議室に籠り、千尋からの電話を待ちながら昼食を取っている。
 事前に知らされたこともあって、少し早めに仕事を切り上げ、近くのコンビニでお昼ご飯を買って来たのだ。
 タマゴサンドを口に運ぼうとした、その時。
 美絃のスマホがブブブッと震えた。

「はい、もしもし?」
「俺だ」

 スピーカー越しの声音に、トクンと胸が跳ねた気がした。
 
「そっちは真夜中ですよね? 寝ないんですか?」
「美絃との電話を切ったら寝るよ」
「ちゃんと寝て下さいね?」
「あ~分かったから」

 同棲当初は話すのも緊張していたが、会社の彼と違って、プライベートな時間の彼はとても穏やかで優しい人。
『エアコン、効き過ぎじゃないか? 寒くないか?』『観たいテレビがあったら、観ていいんだぞ』『俺を待たずに、先に寝てていいからな』などと、常に美絃を気遣ってくれるのだ。

 元彼との同棲生活で、一度もそんな会話をしたことがない。
 年上の余裕というやつだろうか?
 それとも、お客さん扱いしてくれてるのだろうか?

「何か、話すことがあったんじゃないですか?」
「あぁ。美絃は食べ物と小物類なら、どっちがいい?」
「はい?」
「土産だよ。買って来て欲しいものがあるなら、遠慮なく言っていいからな」
「いいですいいですっ、結構です! お仕事が無事に済んで、帰って来てくれたらそれだけで十分です」
「何だ、寂しいのか?」
「へ? ……あっ、そういう意味ではなくて……。とにかく、お土産は要りませんから!」
「じゃあ、適当に買ってくな」
「だからっ、何も要らないんですってばっ」
「美絃、こういう時は素直に甘えた方が可愛いぞ」
「なっ……、もう切りますね! おやすみなさい」
「……おやすみ」

(もう甘やかしすぎなんだってばっ!)
 通話を切った美絃は、頬に熱がこもっているのに気が付く。
(美絃、美絃って、あんなに甘い声で呼ばれたら、変に勘違いしちゃうんだからっ)
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