敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
「あっ、仁香だ」
「洋子ちゃん、あの綺麗な人知ってるの?」
「知ってるも何も、有名じゃない」
「え?」
「美絃、テレビ観ないの? プロゴルファーの工藤 仁香だよ」
「プロゴルファー?!」
「うん。しかも、工藤専務の娘さんで郡司部長とは幼馴染みたいだし、婚約者だっていう噂もある。美絃は田嶋くん一筋だったから知らないか……」
洋子の言葉で、スーッと足下から冷気が纏わりつく気がした。
(婚約者がいるのに、自宅に私を住まわせて大丈夫なの?)
知らなかったとはいえ、美絃の心に罪悪感が芽吹く。
じーっと眺めていたら、部長と目が合ってしまった。
*
「どうしたの?」
「……」
急に固まった千尋の視線の先を辿る仁香。
そこにはあからさまに踵を返した女子社員がいた。
「彼女が、例の……?」
「……ん」
「へぇ~」
(あからさまに視線を逸らされただけで固まるだなんて……、相当惚れ込んでるじゃない)
仁香は不敵な笑みを浮かべ、周りの社員の視線も気にせず、千尋に耳打ちをした。
**
美絃が社食から戻ると、業務部の部長から分厚い資料ファイルを渡される。
「高岡君、悪いが、それを専務に届けてくれないか?」
「来週の重役会議に使う資料ですね?」
「あぁ、戻って来たばかりのところ、悪いね」
「いえ、ではお預かり致します」
美絃はその足で二十二階にある専務室へと向かう。
「すみません。業務部の磯田部長よりファイルを預かって参りました」
「お預かりします」
専務秘書の遠野さんに資料ファイルを手渡して、踵を返す。
来た道を戻るようにエレベーターホールへと向かっていると、応接室の扉が少し開いていて、中から会話が漏れて来た。
「千尋君、式の詳細は決まったかね?」
「はい、大体のことは……」
ドアの隙間から聞こえて来たのは、まぎれもなく千尋さんの声だった。
「洋子ちゃん、あの綺麗な人知ってるの?」
「知ってるも何も、有名じゃない」
「え?」
「美絃、テレビ観ないの? プロゴルファーの工藤 仁香だよ」
「プロゴルファー?!」
「うん。しかも、工藤専務の娘さんで郡司部長とは幼馴染みたいだし、婚約者だっていう噂もある。美絃は田嶋くん一筋だったから知らないか……」
洋子の言葉で、スーッと足下から冷気が纏わりつく気がした。
(婚約者がいるのに、自宅に私を住まわせて大丈夫なの?)
知らなかったとはいえ、美絃の心に罪悪感が芽吹く。
じーっと眺めていたら、部長と目が合ってしまった。
*
「どうしたの?」
「……」
急に固まった千尋の視線の先を辿る仁香。
そこにはあからさまに踵を返した女子社員がいた。
「彼女が、例の……?」
「……ん」
「へぇ~」
(あからさまに視線を逸らされただけで固まるだなんて……、相当惚れ込んでるじゃない)
仁香は不敵な笑みを浮かべ、周りの社員の視線も気にせず、千尋に耳打ちをした。
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美絃が社食から戻ると、業務部の部長から分厚い資料ファイルを渡される。
「高岡君、悪いが、それを専務に届けてくれないか?」
「来週の重役会議に使う資料ですね?」
「あぁ、戻って来たばかりのところ、悪いね」
「いえ、ではお預かり致します」
美絃はその足で二十二階にある専務室へと向かう。
「すみません。業務部の磯田部長よりファイルを預かって参りました」
「お預かりします」
専務秘書の遠野さんに資料ファイルを手渡して、踵を返す。
来た道を戻るようにエレベーターホールへと向かっていると、応接室の扉が少し開いていて、中から会話が漏れて来た。
「千尋君、式の詳細は決まったかね?」
「はい、大体のことは……」
ドアの隙間から聞こえて来たのは、まぎれもなく千尋さんの声だった。