敏腕エリート部長は3年越しの恋慕を滾らせる
パンパンッと手を叩いた磯田部長は、作業している手を止めさせ、部下を集めた。
「急で申し訳ないんだが、TK社の納品にトラブルが起きてしまったので、急ぎの業務以外は後にして、管理部に在庫があるか確認と、資材部に材料があるようならリードタイムが何日かかるかも確認。それと国内の支店に残っている在庫がどれくらいあるか誰か確認してくれ。あとは、納期に余裕があるものを優先できないか調べてくれ」
「皆さん、お忙しいのにすみませんっ!! 宜しくお願いします」
美絃は膝頭に額がつくほど腰を折り、頭を下げた。
「高岡さん、手伝うわよ。商品コードはどれ?」
「あっ、これです!」
受注ファイルを中曽根課長に手渡す。
「恋に現を抜かしてるからミスしたんじゃなくて……?」
「……っ」
背後から嫌味な言葉が向けられた。
声の主は望月 愛華。
桜色のマニキュアが施された指先が、美絃の手元から納期スケジュールが書かれているファイルを引き抜く。
「望月さん、ありがとうございます」
美絃はTK社の三谷さんに電話で事情を説明し、早急に代替え納品をすると陳謝した。
TK社はWINGの顧客の中では大口な取引先だ。
**
「部長、聞きましたか?」
「……橋爪、何をだ?」
「業務部で、何やら大口契約を間違ってキャンセルしたとかで、今国内在庫の確認をしてるみたいなんですよ」
部下の橋爪は、俺が美絃のことを好きなことをだいぶ前から薄々勘づいていた人物で、例の噂が表立ってからも相変わらず応援してくれる唯一の部下だ。
「それって……まさか」
「そのまさかです」
千尋は嫌な予感がして、すぐさま磯田部長の携帯に電話をかけた。
「急で申し訳ないんだが、TK社の納品にトラブルが起きてしまったので、急ぎの業務以外は後にして、管理部に在庫があるか確認と、資材部に材料があるようならリードタイムが何日かかるかも確認。それと国内の支店に残っている在庫がどれくらいあるか誰か確認してくれ。あとは、納期に余裕があるものを優先できないか調べてくれ」
「皆さん、お忙しいのにすみませんっ!! 宜しくお願いします」
美絃は膝頭に額がつくほど腰を折り、頭を下げた。
「高岡さん、手伝うわよ。商品コードはどれ?」
「あっ、これです!」
受注ファイルを中曽根課長に手渡す。
「恋に現を抜かしてるからミスしたんじゃなくて……?」
「……っ」
背後から嫌味な言葉が向けられた。
声の主は望月 愛華。
桜色のマニキュアが施された指先が、美絃の手元から納期スケジュールが書かれているファイルを引き抜く。
「望月さん、ありがとうございます」
美絃はTK社の三谷さんに電話で事情を説明し、早急に代替え納品をすると陳謝した。
TK社はWINGの顧客の中では大口な取引先だ。
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「部長、聞きましたか?」
「……橋爪、何をだ?」
「業務部で、何やら大口契約を間違ってキャンセルしたとかで、今国内在庫の確認をしてるみたいなんですよ」
部下の橋爪は、俺が美絃のことを好きなことをだいぶ前から薄々勘づいていた人物で、例の噂が表立ってからも相変わらず応援してくれる唯一の部下だ。
「それって……まさか」
「そのまさかです」
千尋は嫌な予感がして、すぐさま磯田部長の携帯に電話をかけた。