野いちご源氏物語 四三 紅梅(こうばい)
「今夜は宿直なのだろう。このまま私の部屋で休めばよい」
匂宮様がそうおっしゃるから、若君は東宮様のお部屋にご挨拶に上がることもできない。
すぐそばに横になられた宮様からは、紅梅《こうばい》も恥ずかしがりそうなほどのよい香りがする。
若君はうれしくて甘えたい気持ちになる。
「おまえの父大臣は長女を東宮様に入内させたが、宮の御方の方を入内させようとは思わなかったのだろうか」
横になって優しくお尋ねになる。
「よく存じませんが、宮の御方の魅力が分かる方に差し上げたいと父は考えているようです」
父大臣の考えをはっきりとは申し上げない。
実は匂宮様は、紅梅大臣様のお考えを人づてにお聞きになっている。
でも、
<次女を私と結婚させたいようだが、私は宮の御方が気になる>
と、大臣様のご希望どおりのご結婚には乗り気でいらっしゃらない。
お返事を書くのもお気が進まない。
翌朝早くに若君が退出しようとするので、仕方なく、
「花の香りにふらふらとつられるような浮気者なら、ありがたいお手紙だとよろこんでお訪ねするだろうけれど」
とお書きになった。
匂宮様がそうおっしゃるから、若君は東宮様のお部屋にご挨拶に上がることもできない。
すぐそばに横になられた宮様からは、紅梅《こうばい》も恥ずかしがりそうなほどのよい香りがする。
若君はうれしくて甘えたい気持ちになる。
「おまえの父大臣は長女を東宮様に入内させたが、宮の御方の方を入内させようとは思わなかったのだろうか」
横になって優しくお尋ねになる。
「よく存じませんが、宮の御方の魅力が分かる方に差し上げたいと父は考えているようです」
父大臣の考えをはっきりとは申し上げない。
実は匂宮様は、紅梅大臣様のお考えを人づてにお聞きになっている。
でも、
<次女を私と結婚させたいようだが、私は宮の御方が気になる>
と、大臣様のご希望どおりのご結婚には乗り気でいらっしゃらない。
お返事を書くのもお気が進まない。
翌朝早くに若君が退出しようとするので、仕方なく、
「花の香りにふらふらとつられるような浮気者なら、ありがたいお手紙だとよろこんでお訪ねするだろうけれど」
とお書きになった。