この恋を実らせるために
知った事実と知られたくない本心
プロジェクトチームに参加するようになり、昼間の通常業務に加えプロジェクト会議や次回までに処理しておくことなど、時間外で対応することが増え忙しいけれど気持ちは充実していた。
「今日ももう少し頑張ろっかな」
腕をぐっと上に伸ばして首を左右に曲げ、ゴリゴリに凝った肩を回した。
途中から参加した会議は当然だけどわからないことばかりで、過去の議事録や資料をじっくり見て考えておかないと会話についていけない。
「はぁ〜。あと、この資料を確認したら、今晩は女将さんのところに夕飯を食べに行こうかな」
今日は定時退勤推奨の金曜日なので7時という時間でもオフィスに残っているのは私だけ、そう思ったらついつい独り言が多くなっていた。
「あ~、いたいた。お前、こんな時間まで何してんだよ」
そんな時に急に声をかけられてビクッと肩が跳ねた。
「橘さん!? えっと、この前の会議の話がまったくわからなかったので議事録と資料を見て勉強してました。それと他にも片付けたい仕事があったので」
「プロジェクトに誘った俺が言うのもなんだが、ここまで根を詰めなくていいんだぞ」
隣にやってきた橘さんが仁王立ちして見下ろしてくるので、だんだんと声のトーンが下がってくる。