この恋を実らせるために
「でも、せっかくメンバーに選んでいただいたので、少しはお役に立ちたいな……って思ってるんです。それで……つい」
「うん、それは助かるけどまだ先が長いプロジェクトだから無理はするな。それに堀田ならすぐにわかるようになるさ。今のままでも十分戦力になると思ってるよ」
「あ、ありがとうございます!」
橘さんからこんな風に言ってもらえるなんて。想像もしていなかった言葉に反射的に喜びを隠せない。
褒めてもらえたのかなって思ったら、またやる気が出てくるなんて現金な奴だなと思いつつ、ディスプレイに視線を戻した。
キーボードを叩いていると、後ろからディスプレイを覗く橘さんの顔がすぐ横にあり心臓が早鐘を打つ。
「あ、あの、何か問題でもありましたか?」
「いや、これそんな急ぎの案件じゃねえぞ」
「はい」
「はいって、じゃあ、なんでこんな時間まで仕事してんだよ?」
「早めに処理しておいたら外回りの時間も取りやすくなるしいいかなって思って」
「いや、いつもの営業業務は今お前の配分を見直してるから、今日はもう止めて帰るぞ」
「えっ、でも……」
「夕飯、ごちそうしてやる。だから、片付けて帰るぞ。これは上司命令だからな、断るなよ」
後ろから手を伸ばしてきた橘さんにマウスをとられ勝手にファイルを保存されて、パソコンをシャットダウンされてしまった。