この恋を実らせるために
私の正面で三枝さんがクスクスと笑い、橘さんはやれやれと肩をすくめていた。隣に座る吉瀬さんがちょっぴり不機嫌そうに見えるのは気のせいではないらしい。
「面子もそろったことだし、始めてもらおう」
軽く手を挙げた橘さんにスタッフがテーブルにきて、ワインをグラスに注いでいく。
「お料理の方は私が先に選んでおいたから、楽しみにしてて」
「じゃあ」とグラスを持ち上げた橘さんに合わせて二人もグラスを手にしたのを見て、私も慌ててグラスに手を伸ばした。
ワインで乾杯をした後は吉瀬さんが選んでくれたメニューが次から次へと運ばれてきて、目と舌を楽しませてくれた。お腹が空いていた私はどのお料理も美味しくいただいていて最初の緊張はすっかりほぐれていた。
「あの、質問してもいいですか? 皆さん名前で呼びあってますけど、三人の関係ってどういう関係なんですか?」
メインのお肉料理を食べながら、疑問に思っていたことを口にできるほど、私はこの場の雰囲気に馴染んできたのだと思う。聞けた、と思っていたところにすかさず返してきたのは木瀬さんだった。
「私たちはいとこ同士なのよ」
吉瀬さんの答えに前に座る2人が首を縦に振って同意している。
「え? じゃ、じゃあ、橘さんも三枝さんも社長の親族ってことですか?」
「そうよ。なにか?」
「いえ、どおりで……三人ともゴージャスでお美しいわけですね」
言われてみれば雰囲気だけでなく顔立ちも似てる気がする、と納得をしてしまう。
「あら、どうも」と吉瀬さんは言われ慣れているのか淡白な反応をした。
「クスクス」と笑う三枝さんは何となく楽しそうな感じに見えるが、橘さんの反応はよくない感じだ。
「別に俺は女から美しいとか言われても嬉しくないぞ」
「堀田さん、亮平は顔がいいとか言われるの嫌がるからね」
「当たり前だろ。きれいな顔ですねとか言われるとぞっとするよ。しかも、その後はたいてい付き合ってくれとか言われるしな。面倒くさい」