この恋を実らせるために

むくれた顔をした橘さんを見て苦笑していた三枝さんが私を見てきた。

「堀田さんもその現場にいたことあるんでしょう? 営業先でよく知りもしない女の子に顔が好みだとか告白された時に堀田さんをダシに使ったって聞いたことあるよ」

「あぁ……。確かに、そんなこともありました」

「なによ、それ。亮くん、私聞いてないんだけど」

ドンっとテーブルを叩く音がして横を見ると音を立てたのは吉瀬さんだった。少し酔った吉瀬さんがキッと橘さんを睨んでいて、橘さんは珍しく取り乱している。

「ま、待てよ。ちゃんと断ったって。おい、堀田、お前ちゃんと証言しろよ」

「ふふ、そうですね。あの時の橘さんはちゃんと断ってました」

怒る吉瀬さんを見て、あぁこの二人もしかしたら付き合っているんじゃないかな、なんて微笑ましくなってしまった。

相手を思うからこそ、ヤキモチをやいてしまうんだよね。仕事中からは想像できない橘さんと吉瀬さんのやり取りを見ていて、少し羨ましくなったと同時に私は寂しさを感じていた。

ダメダメ、せっかくの豪華な食事に美味しいワインなんだから楽しまないと。仕事を頑張ってたら、またこんないいことがあるかもしれないし、とワインを一口味わった。
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