この恋を実らせるために

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亮平から今晩は久しぶりに琴美と夕飯を食べに行くと聞いていた。

「楽しんで来いよ」と言って別れた数分後に『お前も来い』と店の名前を知らせるメッセージが届いた。

いったいなんのつもりだろうと疑問に思いつつ、琴美とプライベートで話すのも久しぶりということもあり「OK」と返信した。

2人がきちんと交際を始めたのは最近のことだけど、付き合い自体は琴美が生まれた頃からだから、きっと結婚するとか言い出すのではないかと考えていた。

そうならお祝いしてあげないとな。

指定された店に着くと琴美が先に来ていた。

「達也くん、お疲れさま」

「ああ、琴美もお疲れさま。今日は急になんだい?」

「なんだいって何? 私は亮くんから達也くんも来るって聞いただけよ。何の用事かまでは聞いてないわ」

てっきり笑顔で婚約したと告げられるのではないかと考えていた俺は、琴美の冷たい対応に拍子抜けする。

「そうか、亮平は琴美とデートだって話してたから、なんで邪魔者の俺が呼ばれたのかわからなくてさ。亮平のヤツ、何考えてるんだろうな」

「そうね。本当に何を考えているのかしら。私は亮くんと2人きりがよかったんだけど。まあ、達也くんとこうやって話すのは久しぶりだし仕方ないわね」

いつも通りのツンとした琴美の態度に俺は笑顔になる。

「琴美は本当に子供の頃から変わらないな。でも、本当に亮平と付き合えるようになってよかったな」

琴美は昔から亮平一筋だったからな。よく亮平と一緒にいた俺は嫌われていたよな、と斜め前に座っている琴美を見た。

俺は琴美からは嫌われていたが、琴美のことはそれなりにかわいい妹分だと思っている。

「もう約束の時間過ぎてるのに、亮くん来ないわね。仕事なのかしら……」

「さすがにそろそろ来るんじゃない?」

俺は腕時計で時間を確認して答えた。すると、扉を叩く音がした。

扉が開いて亮平が入ってきた。しかし、亮平は一人ではなく背後に女性がいるではないか。

琴美が怒り出すのではないかと心配になったが、亮平の後ろに隠れていたのは、なんと知春だった。

亮平も琴美も俺が知春のことが好きだということを知っている。

そこで、俺は亮平が急に俺を食事に誘った理由がわかった。
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