この恋を実らせるために

「うふふ。橘さんはそんなことでは怒らないと思いますよ」

弾けるような笑顔にやっぱりかわいいな、と思ってしまった。
ずっとこんな風に笑っててほしい。
できることなら、そうあるように俺が傍で守ってあげたい、そんなことを考えてしまった。

「うん、よかった……」

「え? 何がよかったんですか?」

「あ、えっと、少し前に堀田さんが辛そうにしてたのを知ってて。ごめんね、俺、堀田さんが朝早くに出勤した日に休憩コーナーにいたのを見かけて、それで気になってたんだ」

「朝早く……。あー、あの日見られてたんですね」

対向車のライトで堀田さんの困ったような顔が見えた。

「ごめん。見られたくなかったよね」

「いえ、あの時間に出勤してる人がいると考えてなかっただけで、もっと場所を考えるべきでした。お見苦しいものをお見せしてしまってすみません」

「いや、見苦しいとかじゃなくてさ。とても苦しそうで何かしてあげたいと思ったのに、何もできなくて。俺、気になってたんだ」

「そんなこと気にしないでください。それより、今日は三枝さんや吉瀬さんとお話できて楽しかったです。吉瀬さんのイメージがだいぶ変わりました」

「楽しんでもらえたようで本当によかったよ。亮平も堀田さんのこと気にしてたからね。だから誘ったんだと思うよ」

「橘さんって一見厳しそうな感じですけど、部下思いの素敵な上司ですよね」

「あぁ、そうだな。あいつすごいヤツなんだよな」

「確かにすごいです。いつも部下の業務まで把握してるし、それに部長にも頼られているし」

好きな子が他の男のことを褒めるなんて、本当は悔しいと思うところなんだろうが、相手が亮平だと自分まで嬉しくなってくる。

知春が亮平を崇拝しているのは上司としてであって、男として見ていないと思うから。でも、その気持ちがいつ恋心に変わるとも限らない。亮平と琴美の関係を知った知春が亮平を恋愛対象にはしないと信じるしかない。

「それは亮平が今の営業部でいろいろなことを改革してきた結果でもあるんだろうな」

それから亮平が改革してきたことってどんなことかと聞かれ、彼女の家の近くまで職場の話をしていた。
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