この恋を実らせるために
忘れた気になっていた週明けの月曜日、休憩コーナーで会った三枝さんの笑顔があまりに甘くてヒュッと息を呑む。
「おはよう」と近づいてきた時、あの夜と同じ三枝さんの香りが鼻腔をくすぐった。
失恋して間もないというのに、あの日から私は少しおかしい。
三枝さんは女子の憧れの王子で、私とは接点なんてないはずだったのに、近づいてしまったらその魅力に惹かれてしまった。
以前のようにただの同僚でいることが苦しいなんて。固まってしまった私に対し三枝さんはいつも通りだ。
「堀田さん、今日もよろしくね」
「こ、こちらこそ、よろしくお願いします」
クスッと笑った三枝さんが自身の腕にある時計で時間を確認して「時間だ。始まるよ」と教えてくれた。
「はい」と小さな声で返事をして、頭を会議に向けて切り替えた。
その日の会議は広報戦略を中心に話が進められた。
私は以前、橘さんと一緒に営業先に出向いていた頃に見かけたイメージと似ていると感じ、自分の考えを伝えた。その後、橘さんや三枝さんからも同じような発言があり、新たなイメージの案を出し合った。
うん、ちょっとドキドキしたけど言ってよかったな。
「堀田、今日はいいとこ突いてたと思うぞ」
橘さんに褒められるなんて、嬉しい。こういうのをやりがいを感じるっていうんだろうなって思った。
「ありがとうございます。橘さんに褒められると嬉しいです。頑張った甲斐がありました」
「おいおい、もう終わりみたいな言い方だな。まだ中盤だぞ。この後も気合い入れていくぞ」