この恋を実らせるために

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俺はプロジェクト会議ではいつも知春の隣に座るようにしていた。

近くで知春を感じたかったからだ。

亮平や琴美と食事に行った夜、帰りのタクシーで、たくさん話せて今まで以上に知春のことが好きになった。

恋心はどんどん大きくなる。

再会した時にはいきなり声をかけるなんてことはできず、様子を窺うだけだった。恋人がいると聞いた時は知春が幸せならと思い、俺は知春への恋心に蓋をした。

それでもいいと本気で思っていたが、亮平たちと4人で一緒に食事をした後から、知春の態度に変化が現れた。

俺のことを意識してくれてる。そう感じた。

今ならもしかしたら、俺の気持ちを伝えてもいいんじゃないか。もう他の男のものになる前に俺のものにしたい。そんな欲求が湧いた。

そんな矢先、俺が今日の会議で出た課題に関するデータ分析をするため、広報担当者と打ち合わせをしていると、営業部の林くんが知春にちょっかいを出していたのが目についた。

近くに亮平もいたが注意する様子もない。

もしかして、あの光景は営業部では日常茶飯事なんじゃ? そんな不安に駆られた。

広報担当者との話を終え、急いで知春の元へ向かう。林くんの馴れ馴れしい態度が気に入らない俺は会話に参加するタイミングで、林くんの肩をギュッと掴んだ。

今日の終業後に飲みに行くと聞こえたので、俺も一緒に行って林くんがこれ以上知春に近づかないように見張ろうと思った。

見張るだけじゃない。今夜も知春を家まで送っていき、そこで俺の気持ちを伝えよう。それで砕けるならそれまでだ。
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