この恋を実らせるために
エピローグ
想いを重ねた日から1週間。
俺の父親から連絡がきて来週から出張だから知春に会うなら今晩はどうか、とのことだった。
忙しい人だから仕方ないが、いつも急だな。まったくと呆れていると、休憩コーナーにいた知春に声をかける。
「知春。さっき親父から連絡があって、今晩家に来られないかって。なんでも来週から出張らしくて、急で悪いんだけど都合は大丈夫?」
「今晩ですか? 大丈夫ですよ。あ、でも、私こんな普段着だし失礼じゃないでしょうか?」
「何を着ててもかわいいよ」
弾けるような笑顔の達也さんにクラクラする。
「もう、達也さんったら」
「じゃあ、仕事が終わったら俺のマンションに寄って車で向かおう」
「後でね」と仕事に戻っていく達也さんの背中を見送った。
夕方、待ち合わせた達也さんと私は初めて達也さんのマンションに向かう。会社から徒歩圏内だなんて聞いてないよ。
「達也さんのマンションって、ここなんですか?」
初めて連れてきてもらった私はエントランスまで豪華なタワマンに驚く。