愛しているのは私だけ⋯⋯
「上杉さん⋯⋯ほっぺたが赤い」

「瑤ちゃんは目が赤いよ」

私が、泣き腫らした目を隠そうとすると、そっと腕を引き寄せられた。

「隠さないで⋯⋯瑤ちゃんは泣き顔だって可愛い。気ままなところも、何もかも全部、可愛くて仕方ない」

私が、つい泣き笑いになると、

「だけど、もう二度と泣かせたりしないって、約束するよ。指切りしよう」

そっと、小指を差し出してくる。

「もう⋯⋯!子供扱いは変わらないじゃない!」

「だってさ、その子供みたいなところが可愛いんだから仕方ないよ」

笑いながら、もう一度、私を抱きしめてくれた。

「瑤ちゃんのことが本当に好きだからこそ、敢えて急ぐような真似はしたくなかった。そんな年上男の複雑な気持ち、全部判ってくれとは言わないけど⋯⋯ちょっとだけ判ってくれたら嬉しいな」

「うん⋯⋯」

もう、夜も遅かったので、上杉さんは泊まっていくことになった。
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