愛しているのは私だけ⋯⋯
小さなソファで二人、寄り添いながら、

「私もね、何かいい曲があったら、上杉さんにオススメ出来たらいいなと思って、色々なCDを聴き漁ってたの」

「楽しみだよ。でも、今はリクエストしたい曲があるんだ」

「何?」

「“素直になれなくて”をね。きっと、瑤ちゃんは覚えてないだろうけど、僕にとっては、二人の想い出の曲なんだよ」

私は驚くやら、可笑しいやら、嬉しいやらで、思わず笑ってしまった。

「何?どうしたの?」

「初めて言葉を交わした日のことでしょう?忘れるわけがないじゃない!」

二人して笑って、想い出の曲に酔った。

「“Hard to Say I’m Sorry”を“素直になれなくて”という邦題にするセンスが大好きだけど、素直になれないのって、必ずしも謝れないことだけじゃないものよね」
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