幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
2黒白王子の握手会②




 朝。学校。
 今朝は一人で登校した恋は、昇降口で外履きを履き替えていた美風と、違う学校なのになぜか西中にやって来ていた律と合流した。
 美風と律は軽い言い争いをしていた。
 狐の恋が好きな音楽について、律はポップス、美風はクラシックと言って譲らなかったのだ。
 どちらとも言いかねた恋は首を振った。


「やっぱり、ポップスですよ。」


 律が言った。


「共鳴して、ドキドキできるサウンド。泣ける切ない感動できる歌詞の奴。僕と居る時に聞くのはいつもポップスですもん。」

「いいやクラシックだ。」

 美風が腕組みをして言った。

「狐の時は、僕の膝の上で僕の弾くピアノを聴くんだ。前にそうするのが好きだって言ってたもん。ね?新田さんそうでしょう?」

「好みの押し付けですよ。樋山はさんは自分がそうだから言ってる。」

「こっちの台詞。ポップスは向井が好きなんだろ。」

「違います。恋は若者らしく、若い歌い手のメジャーなヒットソングを聴くべきなんですよ。エモーショナルで絶対感動できますもん。」

「なんと言おうとクラシックだね。ピアノの名曲じゃなくても、オーケストラの大作でも。古きを学ばないと新しきは学べない。」

「分っかんない人だなあ樋山さんは……」

「それは向井の方がだろ。」


 言い合いながら階段をあがっていく美風と律に、恋はついていく。






< 10 / 89 >

この作品をシェア

pagetop