幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
2黒白王子の握手会②
朝。学校。
今朝は一人で登校した恋は、昇降口で外履きを履き替えていた美風と、違う学校なのになぜか西中にやって来ていた律と合流した。
美風と律は軽い言い争いをしていた。
狐の恋が好きな音楽について、律はポップス、美風はクラシックと言って譲らなかったのだ。
どちらとも言いかねた恋は首を振った。
「やっぱり、ポップスですよ。」
律が言った。
「共鳴して、ドキドキできるサウンド。泣ける切ない感動できる歌詞の奴。僕と居る時に聞くのはいつもポップスですもん。」
「いいやクラシックだ。」
美風が腕組みをして言った。
「狐の時は、僕の膝の上で僕の弾くピアノを聴くんだ。前にそうするのが好きだって言ってたもん。ね?新田さんそうでしょう?」
「好みの押し付けですよ。樋山はさんは自分がそうだから言ってる。」
「こっちの台詞。ポップスは向井が好きなんだろ。」
「違います。恋は若者らしく、若い歌い手のメジャーなヒットソングを聴くべきなんですよ。エモーショナルで絶対感動できますもん。」
「なんと言おうとクラシックだね。ピアノの名曲じゃなくても、オーケストラの大作でも。古きを学ばないと新しきは学べない。」
「分っかんない人だなあ樋山さんは……」
「それは向井の方がだろ。」
言い合いながら階段をあがっていく美風と律に、恋はついていく。