幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
3黒白王子の撮影会②
朝。ホームルーム前。
2−1の教室の前の廊下には、今日も黒白王子のファン達がたむろしていた。
朝早くから来て教室前の廊下で、宗介と美風の登校を待っているのである。
ファン達は宗介や美風の名前を描いた特製うちわを手に、黒白王子の噂話をしている。
そこへ2階への階段を、宗介と恋が登校して上がってきた。
「黒王子親衛隊、フォーメーションD!」
とたんに黒王子親衛隊のリーダーが声を張り上げる。
黒王子親衛隊はその声で横一列に並ぶと、控えめにうちわをパタパタし始めた。
「何」
「さすが黒王子!。今日もクール!。さあ、今日も頑張って行きましょう。」
宗介が怒り笑いで聞くと、リーダー格の女の子はそう言って笑った。
「ったく面白くもない。恋。」
続いて恋が宗介の後ろを歩く。
「姫も寛恕。黒王子に免じて。ただしうちわのコールは姫にはありません。応援はできませんから。」
そう言われた恋は曖昧な表情をして宗介の後ろを歩いた。
廊下を通った宗介と恋が教室に入る前に、後ろから白王子親衛隊のうららの声が響いた。
「きゃあ!美風様がいらっしゃった!白王子親衛隊、フォーメーションD!」
恋は並んでうちわをパタパタさせるファン達の前を美風が居心地の悪そうな顔で歩いてくるのを見ながら、教室の戸は開けておいた。