幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜



  

 

 学校帰り、今日はそのまま恋の家に寄った美風と一緒に、恋は宗介の家に行った。

 後で宗介の家に理央が迎えに来る予定だったが、美風が宗介の家の中に入るのは今日が初めてだった。

 チャイムを鳴らして宗介の家に行くと、宗介は無言で恋の後ろの美風を一瞥した。


「お茶は日本茶。これからお花見だし。茶菓子はなんでもいいね。」


 そう言いながらダイニングで宗介が3人分の熱いお茶を淹れる。

 恋と美風はリビングのテーブルの前に座っていた。


「お花見なんて、風流な事考えつくよね」

「ね。空と桜って、ぴったりの色合いじゃない?。写真に撮ると良い題材なんだ。今日は財布だけでカメラは持ってきてないけど。撮ると綺麗だよ。逆に夜に撮っても綺麗だけど。」

「入学卒業シーズンで、学校の前庭に少し咲いてる桜も見頃だ。自然公園の桜はもっと豪華で凄いだろうな。桜って僕好きな方。一番好きな花かもな。」

「最後にお花見をしたのは小学生の頃で、その時は両親や親戚と遠出してピクニックに行ったんだ。僕は写真を撮る係だったけど、親戚達が居たから、さすがに桜よりは親戚を撮ったな。飲み会になったんだ。近くのレストランにオードブル頼んで。」

「僕が桜を家族で見たのは幼稚園が最後だな。僕んちも親戚と話があった時に、みんなで出掛けたんだ。大人数で楽しかったよ。公園にシート引いて占領して。酔った親戚に僕も酒を勧められた。まだ小さいのに。」

「この季節になると、お花見をする人は増えるね」

「この頃は散歩中にたまたま咲いてる桜を眺める程度だったんだ。それも綺麗。友達同士でお花見に行くなんて面白い趣向だね。」

「駒井は趣味が良いよな。あいつはレジャーに詳しいけど、なんでなんだろうね。恋、お茶は冷めないうちに飲めよ。」


 そうこうしているうちにチャイムが鳴って理央がやって来た。






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