幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
7黃崎うららと恋②
朝。
2−1の教室前の廊下には、いつもの様にうちわを持った黒白王子の親衛隊。
今日は壁新聞の王子達のプライベートについて話し合っている。
ファン達いわく、美風の趣味がピアノで、宗介の趣味が読書なのは、しごく自然でぴったりな事だそうだ。
その騒がしい廊下を抜けて、恋が教室に入る。
教室の中では美風の席で宗介と美風が言い合いをしていた。
「樋山がファンっていってくる奴に合わせるから、僕までそうしなきゃいけなくなる」
宗介が言った。
「座談会に出席してくれって。親衛隊のリーダーが、樋山は出てくれるのになんでお前は出ないんだって言うんだ。樋山、そんなのに出席して、よく平気で居られるね。」
「別に。話すだけだし。僕たちを好きって言う子達、嫌っちゃかわいそうだろ。」
美風が言った。
「僕だって好きで出てる訳じゃない。初回に騙されて連れてかれて慣例になってるんだ。出来ることなら行きたくないけど、新聞部の先輩達に新田さんがどうなっても良いのかって脅されて。そうしないとファンをけしかけるって言うんだ。上野も言われたろ。」
「恋にはファン達と二人きりにならないようきつく言ってあるから、それについては心配ない。新聞部の先輩達は、僕には撮影会と握手会だけで良いって名言した。お前がボランティアで座談会に出るから、合わせる様に言われるんだ。どうにかしろよ。迷惑ったらない。そうするのが好きなのかよ。」
「好きなわけないだろ。座談会に出たくないのは僕だって同じだ。新聞部の先輩達に言えよ。出ろって言われるから。こっちは新田さんのためにそうしてるんだ。」
「先輩達にナメられてんだよ。僕は出ない。お前に合わせろって言われるのが超迷惑。」
職員室に呼ばれていた恋は鞄をロッカーに入れて、宗介たちに挨拶をすると、教室を出た。