幼なじみは狐の子。5〜親衛隊と恋〜
話は変わるが、ところで、恋の家には家宝の骨董の壺があった。
白地に青い模様の描いてある小さな陶磁器で、薄物の焼き物で、先祖代々の品だった。
売ったら車が買えるほどの価値があると言われ、親たちは壺をいつも大切に扱っていた。
普段は和室の床の間に飾られていた壺は、恋にはあまり馴染みがなかったが、恋もそれが家宝である事を知っていた。
恋と壺はここまでは安泰に、しごくまっとうな関係を続けていたのである。