代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~

パーティーのスタート

「こんにちは、西条です。本日はお招きありがとうございます」

 二人は連れ立って、上階にある会場のホールへ入った。

 七海をエスコートしながら、八尋は慣れた様子でその場の人々へ挨拶をしていく。

 少し慣れたとはいえ、彼と腕を組んで入場して、並んで歩くということに、七海はどうしても緊張した。

 でもその気持ちを表に出さないよう、努力して笑顔を浮かべる。自分も軽い挨拶をした。

 ちなみに挨拶のとき、八尋は特に名前を名乗っていなかった。

(取引先っていうなら、重要なのは名字だもんね)

 七海はそう解釈して、別段、不審にも思わなかった。

 会場は白を基調とした内装の、広いホールだ。

 上品な装飾で彩られており、今日は立食形式らしいが、ざっと百人以上が過ごせそうなほど広い。

 一応、パーティーの経験はそれなりにある七海だが、その経験の中でも大きい規模のほうである。

(大丈夫、お付き合いだって言うから。挨拶をして、当たり障りなく話して、お料理でもいただいていれば……)

 ホール内を八尋にエスコートされて歩く間、七海は自分にそう言い聞かせていた。

 実際、お付き合いのパーティーは大抵そういうものである。
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