代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
「一華さん、飲み物はなにがよろしいですか?」

 ひとつのテーブルに落ち着くと、給仕のスタッフがファーストドリンクの注文を取りに来た。

 八尋は七海に視線を向け、丁寧に聞いてくれる。

「え、えっと……」

 七海がすぐに決められずに視線をさまよわせると、八尋がテーブルに手を伸ばした。

「メニューはこちらですね。お酒を飲まれますか?」

 立ててあった革張りの表紙のメニュー表を取り上げて、七海のほうへ差し出す。

 これも丁寧に、アルコール入りを選ぶかどうかの確認までしてくれた。

「ありがとうございます。今日はノンアルコールで……」

 ほっとして、七海は素直に答えた。

 お酒はあまり飲む機会がないし、慣れていないほうだ。

 なにか失敗してしまわないように、ノンアルコールのほうが無難である。

「わかりました。ではこのページです。俺も車で来たので、ノンアルコールにしましょう」

 八尋はその七海に微笑して、ページをめくった。
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