代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました～社長令息は初心な彼女を溺愛したい～

小さなハプニング

　パーティーは和やかに進んだ。

　人々は会話を交わしたり、飲み物を楽しんだり、料理を食べたりと好きなように過ごしている。

　壁のスクリーンには映像が映し出されており、それは取引先の会社で作っているミニドラマだそうだ。

　音がちゃんと聞こえなくてもシナリオがなんとなくわかるような構成で、ざわめくパーティー会場にはぴったりだった。

　七海と八尋はそれを眺めたり、あるいは声をかけてきた八尋の仕事関係の人間と軽い会話をしたり……としながら、立食の料理を味わった。

　フレンチの料理は肉料理、魚料理、サラダ……とかなり充実しており、取りに行った七海は目移りしてしまったくらいだ。

　味ももちろんとても良かった。

　丁寧に手をかけて作られた味がして、お腹も心も満たしてくれた。

「このドラマ、とても素敵ですね」

　三十分ほど流れていたそれが終わりに近付いているのを感じて、七海は作品を褒めた。

　八尋も微笑で頷く。

「ええ。何作か連作で作っているそうですよ。どれも力を入れていて……」

　それで軽く説明をしてくれた。

　取引先の製作物だから詳しいのだろうと思いながら、七海は興味深く聞く。

「実は、一華さんにちょっとお話がありまして……」

　しかしそこで八尋が少し声音を変えた。

　しかもなんだか申し訳なさそうな響きに聞こえた。
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