代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
「はい、なんでしょ……、あっ」

 不思議に思った七海だったが、そのときトンッと肩に軽い衝撃が伝わった。

 なにかがぶつかったらしく、体が前のめりになる。

 手にしていたグラスのジンジャーエールが、大きく揺れた。

「あっ! し、失礼しました!」

 すぐに隣で声が聞こえた。

 七海より少し歳上に見える女性から、焦った声で謝られる。

 どうやら隣にあったテーブルから離れようとしたとき引き留められて、振り返った途端にぶつかってしまったようだ。

「ごめんなさい! ドレス、濡れちゃいましたか!?」

 ネイビーのドレスを着て、髪をアップにした彼女は慌てて七海を気遣ってくれるので、七海は微笑んで見せた。

「大丈夫です。ちょっと零れましたが、手にかかっただけだと思います」

 実際、飲み物は少し零れたものの、七海の手を濡らして、あとは床に落ちただけらしい。

 ドレスにはかかっていないように感じられた。
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