代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 ビニール袋からサンドイッチを取り出し、パッケージを開ける。

 サーモンとチーズが挟まった、これも気に入っているサンドイッチを頬張った。

(美味しい。あ、そういえば昨日の会場でも……サーモンのマリネが美味しかったな……)

 しかしそこで昨日の出来事が自然と頭に浮かんでしまい、七海は慌てて思考を別のことに切り替えなければならなかった。

 本当に、自分がこれほど恋愛に慣れていないのだと思い知らされてしまって、その点も気恥ずかしい。

 黙々とサンドイッチを食べて、すべてなくなった。

 お腹が膨れれば、さらに気持ちも落ち着いた。

 よって、昼休みに入るとき軽くチェックだけしていたスマホを手に取る。

 過去の履歴を開くだけだというのに、すでにドキドキしてしまいつつ、メッセージアプリのトーク画面を開いた。

 昨日、新しく友達追加した人だ。

 もちろん玖苑のことである。

『七海、今日はありがとう。これからよろしくね』

 帰ったあと、最初に来たのは丁寧な挨拶だった。

 付き合うことになったのだから、と敬語はやめることにしたので、その点も少し新鮮に思ったものだ。

 おまけに名前も『さん』なしで呼ばれることになった。

 こちらは提案されたとき、また大いに照れてしまったものだ。
< 48 / 68 >

この作品をシェア

pagetop