代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
「お待たせ、七海。お仕事、お疲れ様」

 グレーのスーツスタイルの彼から、やわらかな微笑を浮かべて言われて、たったそれだけのことなのに、七海の頭はくらっと揺れた。

「う、うん。玖苑さんもお疲れ様……」

 なんとか返事をしたが、その様子は玖苑に、ふわっと笑みを浮かべさせてしまう。

「七海はかわいいな。いいんだよ、自然体で」

 そんなふうに言われては、七海の様子など、さらに自然体とはほど遠くなってしまうではないか。

「さぁ、乗って。すぐに車を出さないといけないからね」

 玖苑は助手席側へ回り込んで、ドアを開けてくれた。

 七海も遠慮しつつ、車へ乗り込む。

 車の中は広々としていた。

 それにシートもやわらかく、適度な弾力があって、とても座り心地が良い。

 七海がしっかりシートベルトをかけるうちに、玖苑も改めて運転席へ乗って、やがて車は出発した。
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