代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 向かいで同じように一口食べていた玖苑は、嬉しそうに表情を崩す。

「良かった。気に入ってもらえて、嬉しい」

 そんなふうに言われて、七海のほうまで嬉しくなった。

 好きなものを紹介してもらえるなんて、余計に嬉しい。

「日曜日は少し遠出をしたいんだけど、どうかな? 七海は行きたいところとかある?」

 玖苑がそう言ってくれて、七海はまた楽しい悩みを考えることになった。

 そんななんでもない、しかし特別な会話をしつつ、ドリンクとシュークリームを味わう。

 話は弾んだ。

 まだ正式に出会ってそれほど経たないというのに、玖苑と話すのは心地良い、と七海は感じる。

 デートであることへの緊張もすっかり解けて、明るくおしゃべりできるようになったくらいだ。

「ごちそうさまでした! また食べに来たいな」

 綺麗になくなったシュークリームに満足して、手を合わせたのだが、そこで玖苑がくすっと笑った。

「七海、ほっぺたについてるよ」

 そう言って、手をスッと伸ばしてくる。

 七海の右頬に軽く触れた。
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