代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~

夕暮れのキス

 二時間にも満たないほどだったが、平日なので、早めに帰ることにする。

 家まで送ってくれるというので、七海はお言葉に甘えた。

 その前に、カフェの目の前が高台だからと、夕暮れを見ることになった。

 春の終わりの夕焼け空は、優しいオレンジ色で、美しい。

「日曜日が楽しみだよ」

 夕焼けを眺めながら話していたが、七海は玖苑がそう言った横顔を見ただけでわかった。

 心からそう思ってくれるのだ。

 そんな些細なことなのに、七海の胸に大きな幸せを生んだ。

「私も。水族館なんて久しぶりだから……」

「機会がないと、なかなか行かないよな」

 穏やかな会話が続くうちに、話は昨日のことになった。

「……ああ、なるほど。一華さんがファンなんだね」

 七海がプロモーション映像で、HEROのことに、すぐ気付いた件だ。

 玖苑は納得した、という様子で頷いた。
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