代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
「うん。一華ちゃんったらすごいファンなの。確かにHEROさんって格好良いし、演技もすごく上手いみたいで……」

 七海はつい、そう語ってしまった。

 七海としては、『一華の好きな人』について、話したつもりだった。

 でも玖苑は少し違ったように捉えたらしい。

 七海を見る表情が、ちょっと苦笑になった。

「兄とはいえ、ほかの男を褒められるのは、妬けるなぁ」

 そう言われて、七海は一瞬、よくわからなくなった。

(ほかの男? 妬ける……って?)

 数秒考えて、ハッとした。

 確かにこれは、彼氏になった男性の前で、ほかの男性を褒めた形なのである。

「……えっ、ご、ごめんなさい、そんなつもりじゃ……」

 焦ってしまった。

 慌てて否定する。
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