代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 顔を上げ、一華に向かって小さく頷く。

「わかった。でも会うだけだからね? お父さんかおじさまから、やんわり断ってもらうつもりだし……」

 受け入れる返事と、釘を刺す言葉を同時に言った。

 一華の顔は、ぱぁっと明るくなる。

「ありがとう……! もちろん! 後日、私のお父さんから理由をつけて断ってもらう! とにかく今回の席が無事に終わりさえすればいいの!」

 今度は両手を組んで、キラキラした顔でそんなことを堂々と言うものだから、七海は呆れた。

「適当だなぁ、一華ちゃんときたら」

 それでも一華の素直さは魅力だ。

 苦笑で済ませておいた。

 お見合いの場は半月後だという。

 今からしっかり支度を整えないと、と七海は気合を入れることになった。
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