代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 確かに玖苑の家族であるが、多忙な八尋が今日、来てくれるとは思わなかった七海は驚いた。

 それで言いかけたのだけど、隣の一華は驚くどころではなかっただろう。

「ひ……HERO!? え、なっ、なん、で!?」

 声がひっくり返り、目を見開いた。

 だって推し俳優が、いきなり目の前へやってきたのだ。

 七海は一華の心情と立場を、一瞬で理解する。

(い、言っておくべきだった……!)

 後悔したが、もう遅い。

 入ってきたHEROこと、八尋はきょとんとした。

「え? そうですけど……。どうしてすぐに……、あっ」

 まさか入室するなり、七海の身内から速攻で見抜かれるとは思わなかっただろう。

 不思議そうに言ったが、そこでテーブルにあったものに目を留めた。

 そこには一華のスマホがある。

 背面にHEROのチェキが入ったスマホが……。
< 65 / 68 >

この作品をシェア

pagetop