代理お見合いに出席したら、運命の恋が始まりました~社長令息は初心な彼女を溺愛したい~
 もちろん八尋のことも聞いた。

 年齢は二十七歳で、大企業の社長令息。

 実家は通信業を営む『西条コーポレーション』という会社で、現在八尋は役員を務めて次期社長になるための修行を積んでいるのだという。

 かなり緩い仕事をしている七海の立場からすると、「将来に向けて努力している」と話す彼の様子は眩しく映った。

「では、そろそろ若いお二人で話してもらおうか?」

 そのあと父親が八尋に視線を向け、そう言った。

 七海はドキッとしたが、こうなって自然だ。

 二人きりになれば、余計に気を張らなければならない。

 気を付けよう、と自分に言い聞かせた。

「はい。一華さん、どうでしょう?」

 八尋は父親に向かって頷き、七海に視線を向けた。

 七海も小さく頷き、受け入れた。

「ええ、喜んで」
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