訳ありイケメンは棘持つ花に魅入られる
ただ、中でももっとも話の話題に上げるのは私の仕事についてだ。

よっぽど気になるのか細々と訊ねてくる。

「日本と海外を行ったり来たりで時差ボケは大丈夫なのか?」

「オフとは別に休息日も設けられていて、支障が出ないようにスケジュールが組まれてるから問題ないです」

「変な客もいるだろう?」

「それはまぁそうですけど、それはどんな仕事でも同じだと思いますよ?」

「年末年始も休めず大変ではないか?」

「政治家だって、年末年始は地域行事への参加したり忙しいじゃないですか。有事の時にすぐ動けるようにしておく必要もありますし」

一問一答みたいなやり取りが繰り返される中、食事を終えた私は湯呑みに口をつけ食後のお茶を堪能する。

お湯の温度と抽出時間にこだわり丁寧に淹れたお茶は、本来の香りと味が存分に引き出されており絶品だ。

 ……さすが森本さん、いい仕事するわ~!

まろやかな味わい深いお茶にほっこりしていると、ここでふいに父が踏み込んだ質問をしてきた。

「亜湖の生活を聞いていると客室乗務員という仕事は忙しそうだが、色恋はどうなんだ? お付き合いしている男はいるのか?」

これはどう答えるのが正解だろうか。

ほんの一瞬だけ脳裏に要さんの顔がよぎった。

 ……いやいや、あれはあくまで恋愛コンサルをする上での“恋人ごっこ”だから!

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